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第8回 「障害者基本法改正法」と「人権侵害救済法案」について
7月29日に、障害者基本法改正法が成立した。すでに廃止が明言されている悪法「障害者自立支援法」とは全く異なる。障害者に対する「合理的配慮」の明記など、障害者の自立と差別解消に向けた、大きな一歩と言える。しかし、土壇場で「可能な限り」という文言を入れるなど、官僚の抵抗の強さを見せつけている。次は、2012年3月までに「総合福祉法案」を、12月までに「障害者基本計画」を、そして、2013年3月までに「障害者差別廃止法案」を成立させるというスケジュールが組まれて
いる。

 その後に、2006年に国連で採択された「障害者権利条約」を批准するという。2011年7月27日現在で、批准国はすでに103ヵ国に達している。

 民主党政権下だからこそ進捗した、人権関係法案と言える。

8月2日に、江田五月法務大臣が、「人権侵害救済法案」の基本方針を発表した。

 法務省と自民党が意欲を燃やした、報道機関に対する規制条項(いわゆるメディア規制)が入っていない点を除けば、かつての「人権擁護法案」の焼き直しに過ぎない。

 とくに、国家行政組織法3条に基づき、救済機関を「人権委員会」として設置するのは良しとしても、法務省の外局では意味をなさない。

 公権力による人権侵害事件が、法務省管轄の入国管理施設や刑務所などで頻発していることを考えれば、人権委員会を法務省の外局とすることは、「盗っ人」を「盗っ人の親分」の監視下に置くことであり、法の公正な運用と厳格な適用は期待できない。

 民主党は、解放同盟の意を受けて、マニフェストの中でも「内閣府の外局」としていたはずであり、大きな後退と言わねばならない。

 さらに、「人権委員会」の調査権限と救済に向けた法的勧告についても、強制力を持たせないとしている。韓国や欧州(EU)の人権機関の機能と比較して、相当程度遅れた内容となっている。その理由として、江田法務大臣は、<「一部の人の思いだけで提案して頓挫しては困る」と説明し、野党の理解を得ること>が大事と述べているが、罰則のない法は実効性に疑問が残る。国連の「国内機構の地位に関する原則」(パリ原則)に基づかないザル法のような人権侵害救済法案なら、妥協しない方が良い、という意見も聞こえてくる。
「権限の範囲内の状況を評価するのに必要であれば、いかなる者からも聴取し、いかなる情報や文章も入手する」「特に、機構の意見及び勧告を公表するため、直接又は報道機関を通じて、世論に働きかける」「調停により、又は法に規定された制約の範囲内で、拘束力のある決定によって、また必要な場合は、非公開で友好的な解決を追求すること」

(パリ原則)
 いずれにしろ、民主党が政権政党であるにもかかわらず、旧来の自民党政権下で提出され廃案となった、「人権擁護法案」と、50歩100歩と言わねばならない。
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