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第10回 血液型性格診断の危険性
“血液型番組は差別”に反発、血液型人間学研究家が、
BPO(放送倫理・番組向上機構)を提訴
 2004年(平成16年)、BPOが放送各局に、血液型に対する非科学的な推論で人を分類するのは社会的差別に繋がると、要望書を提出したことを受けて、各局が放送を自粛した。その影響で、「メディアへの出演機会を失った」として、詐欺師まがいの、インチキ「血液型人間学研究家」の岡野某が、BPOを提訴したもの。ついでに、「血液型人間学は占いまがいのものではなく、学術的なもの」と主張しているが、噴飯ものとしか言いようがない。

 BPOは、2004年(平成16年)に、
科学的な根拠が証明されていない血液型に対する「考え方や見方」で人を分類するのは、社会的差別に通じる危険があると指摘。血液型で性格が決まるといった見方を助長しないよう求めた。
 当然の拠置で、むしろ遅すぎるくらいである。

 躁(そう)状態の松本龍前復興大臣が、辞任会見の際に、「B型だから短絡的」と述べたことを真に受けて、就職時の面接で血液型を聞かれ、B型と答えることに戸惑ったと、就活中の学生の声が寄せられている。エントリーシートに記入させる企業もあるという。言うまでもなく、
「血液型と性格や気質の関連付け」は、医学的にも心理的にも、また統計学の検証からも、立証されていない。非科学的なものの見方であり、予断と偏見を助長し;
社会的差別を作り出すもので、「現代の迷信」にすぎないことを、識者は語る必要がある。
日本労働弁護団の常任幹事を務める中野麻美弁護士は「仕事への適応能力をみる採用の場で、職務との関連性がない血液型の情報を求めるのは不合理だ。プライバシーを侵害し、いわれのない差別にあたるおそれがある」と話している。

(朝日新聞2011年8月22日夕刊)
 血液型による人間の分類を始めたのは、ヒトラーだと言われている。ユダヤ人にはB型が多く(事実ではない)、ドイツ人にはA型が多い(ヒトラー自身もA型)と決めつけ、ユダヤ人迫害や虐殺を正当化する理由にしていた。さらにその根拠を“優生学”に求めていたという点で、非常に危険な思想的背景を持っている。人種差別や民族差別と同様の危険な思想なのである。

※優生学とは

<社会的な力で人為的に、「知的に優秀な人間を創造すること」や「社会的な人的資源を保護すること」など、人間の遺伝形質を改良しようとする考え方。歴史的には、強権的な国家主導の人種差別や人権侵害、究極的にはジェノサイドにまで結びつき、特にナチス・ドイツが人種政策に融合させたのが代表的。
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