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第92回 橋下「慰安婦」発言の問題点(2)
■橋下発言が諸外国へおよぼした影響
 沖縄の在日アメリカ軍司令官に「風俗業」を活用すべきとの進言について、アメリカ本国からも強い批判を受け、次のように殊勝に応じている。
今回の私の発言は、アメリカ軍のみならずアメリカ国民を侮辱することにも繋(つな)がる不適切な表現でしたので、この表現は撤回するとともにお詫び申し上げます。
 しかし、問題は「風俗業」を奨めたことを、「従軍慰安婦」問題の流れの中で、話すことである。橋下氏の頭の中では同一問題なのであろうが、論点がずれている。「風俗業」に勤めている女性の問題と、性奴隷であった「従軍慰安婦」問題を同列に考えるのは、国家責任を回避することにつながる。
 もし、真に米軍基地周辺の性暴力問題を憂い、沖縄の人々の立場に立って語るならば、日本国土の0.6%を占めるに過ぎない沖縄に、日本における米軍基地の74%が集中している現状について、まずもって問題にすべきである。
 つまり、中央政界と中央官僚を核とした本土の政治的な沖縄差別政策をこそ問うべきであろう。その点を抜きにした発言は、すべて問題の本質から外れてくる。
 元慰安婦の人々に対する戦後保障を目的に、1995年に村山内閣の下で設立された「女性のためのアジア平和国民基金」に対し、金銭の受け取りを拒否した人々が求めたのは、お金でのつぐないではなく、国家としての日本の反省と謝罪であった。この点を見落とすからこそ、「国際司法裁判所での解決を望む」、と橋下氏は言うのであろう。
 人権を踏みにじられ、蹂躙された元「従軍慰安婦」の人々が訴えているのは、国家の謝罪と補償である。人間としての尊厳の回復を求めているのである。

■橋下氏が政治家としてなすべきことはなにか
 以上、橋下徹氏の「私の『認識と見解』」から、一連の問題について見てきた。
 ここから見えてくるのは、地方自治の担い手としての橋下徹ではなく、国家を担う政治家としての橋下徹は、あまりにも拙いということだ。そして、その発言も、タレント政治家のイキを出ておらず、全国政党の代表としては、あまりにも外交知らずというほかない。
 さらに、学者・文化人の政治的発言と、日本国家を背負った全国政党の代表者の発言は、おのずから言葉の重みが違う。うかつな誤解を招く発言は、当人の政治生命ばかりではなく、日本の政治家の品格が疑われるのである。
 もともと、国政(国家政治)進出がまちがいだったのだから、大阪(自治体政治)にもどって、足下を固め、大阪都構想の再構築に向け、一から出直すべきだ。
| 連載差別表現 |