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連載第157回  部落解放同盟中央本部委員長・組坂名で出された怪文書について
昨年10月10日、一通の奇妙なファクスが、何の脈絡もなく、突然、出版・人権差別問題懇談会(以下、出人懇)加盟各社の社長宛に、送信された。(後日、同じ文面が郵送される。)
 
◇◇◇◇◇◇
出版・人権差別問題懇談会加盟社様
2014年10月10日
貴会の部落問題をはじめ差別・人権問題への取り組みに敬意を表すとともに感謝を申し上げます。
さて、突然のお話で恐縮ですが以下の二点をお知らせします。
貴会の事務局を担っている弊社の担当が、部落解放同盟中央本部と蟆鯤出版社との協議により、多井みゆきから高野政司に変更いたしました。
今後は、高野までご連絡お願い致します。
二点目ですが、蠅砲鵑欧鷭佝乃擇咯林健治氏は、解放出版社及び部落解放同盟中央本部とは一切関係ありません。
今後はなにかありましたら高野まで連絡いただければ幸いです。尚、11月6日から7日の研修会につきましては追って連絡を差し上げます。
 
蟆鯤出版社
代表取締役 坂本三郎
大阪市港区波除4-1-37
電話06-6581-8542
 
部落解放同盟中央本部
中央執行委員長 組坂繁之
東京都中央区入船1-7-1
電話08(ママ)-6280-3360
 
◇◇◇◇◇◇
 
 屬気董突然のお話で恐縮ですが、以下の二点をお知らせします。」
 
として、「貴会(出人懇)の事務局を担っている弊社の担当が、部落解放同盟中央本部と蟆鯤出版社との協議により、多井みゆきから高野政司に変更いたしました。今後は高野までご連絡お願いします。」とある。
おかしな話であり、怪文書のような文面である。出人懇の事務局は、出人懇を代表して、幹事会が委託しているのであり、担当者を変更するのであれば、解放出版社から出人懇幹事会に申し出るべき筋の話であり、「解放同盟中央本部と解放出版社」が協議をしたかどうかは、出人懇にとってどうでもよいことであり、一切、関係がない。
加えて、幹事会代表幹事に申し出るべき事柄を、いきなり、何の権限も関わりもないにもかかわらず、唐突に、出人懇加盟各社にファクスするなどの行為は、幹事会を無視した越権行為といわざるを得ない。解放同盟中央本部などの「威光」をかさに着た、恥ずべき不当な行動であり、出人懇の自主性に対する破壊行為ともいえる暴挙である。
 
出人懇は、あくまで会員各社の自主的な組織であり、総会で選ばれた幹事会社を中心に運営されており、学習研究会・現地研修会など、様々な人権差別問題を、出版社という立場で取りくんで、25周年を迎える「研究会」である。とくに現地研修は、被差別部落問題を中心に、部落解放同盟の各都府県連の協力を得ながら長年つづけているが、解放同盟中央本部の世話になったことは、一度もない。
この文章が送りつけられてすぐ、会員各社から怒りの声が寄せられた。直接にんげん出版まで訪ねてきて詳細を知るに及んで、中央本部の無神経な行為に憤慨した会員社の数も半端ではなかったことを明記しておきたい。

 
 
◆岫蠅砲鵑欧鷭佝乃擇咯林健治氏は、解放出版社及び部落解放同盟中央本部とは一切関係ありません。」について
 
出人懇の加盟各社を含め、誰もが知っている当り前の事実であり、何をいまさら鬼の首でもとったかのように書き加えているのか、意味不明の文言である。ここでも、解放同盟中央本部の「威光」をかさに、加盟各社を威嚇(いかく)し、にんげん出版および小林健治とは一切交際を断つよう、会員各社を威圧しているのであろう。
 
個人的には、それがどうした? としか言いようがないが、しかし、小林が部落解放同盟東京都連合会品川支部の古くからの同盟員であることに、なぜか全く触れていない。こんな作為的文章で、いったい同盟本部の委員長・組坂は何を企図しているのだろうか。
かつて、テレビ・新聞各社の社会部記者で構成していた「人権・マスコミ懇話会」という、部落問題を中心に取材する記者クラブのような自主的な組織があった。
しかし今回と同じように、解放同盟中央本部の異常な介入によって、「再建会議」を開いたものの、その自主性が失われ、自然消滅してしまった。(ちなみに、「再建会議」で中央本部主導に異を唱え、その場を退席した某記者は、その日の夜、中央本部の組坂委員長から直接、社内的に不利な立場に追いやるとの、恫喝の電話を受けている。)
現在、かろうじて在京社会部長を囲む新春懇談会が行われているようだが、今年1月27日に、マスコミ7社(かつては18社が参加していた)と開いた席上、某テレビ局から「中央本部はヘイトスピーチともっと闘うべき」と叱咤されたという。情けない限りだ。

 
 
「尚、11月6日から7日の研修会につきましては、追って連絡を差し上げます。」について
 
「連絡」する主体は出人懇幹事会であって、「事務局」ではない、という組織のイロハも理解していない。出人懇総会で選ばれた幹事会が、中止か否かを決定し、事務局は、その決定に従って、連絡事務を取り扱うに過ぎない。しかし、そこには、幹事会と事務局との永年培った信頼関係が、存在している。出人懇の諸活動と一切かかわりを持たない中央本部と、高野某に、何ができるというのか。自分達が指導機関と思い込むのは勝手だが、組織関係のイロハから学び直せと言いたい。
 

 
し誅
 
 今回のこの文章から垣間見えるのは、悪しき組織論の典型である「伝導ベルト論」を陳腐化した内容であり、自主的な人権問題研究組織として、とうてい容認できる行為ではない。かつてこのような「前衛党」=「上部・指導組織」の名のもとに、「下部・被指導組織」(労働運動、平和運動、市民運動そして部落解放運動など) に介入し、分裂させてきた歴史がある。そして、「前衛党」の方針をオウム返しするだけの、自主性も、大衆性もない、頽落(たいらく)した組織をいくつも作り出し、結果、「親組織」の弱体化をまねいたのと同じ轍(てつ)を踏んでいる。
中央本部は、このような幼稚で未熟な行為が、週刊誌をはじめマスコミの格好の餌食となることを理解していないようだが、その責任は全て、中央本部の組坂委員長にあることだけは言っておく。
 
出人懇に対する同盟中央本部の、常軌を逸した介入に対し、幹事会を筆頭に、会員各社は驚きと憤りをもって受けとめている。出人懇の顧問として、断固として不当な組織介入と闘うことをここで表明しておきたい。

 
ツ謬ーー解放同盟の意向を盾に恫喝しようとした解放出版社・高野
 
上記ファクスが流された同日の10
月10日午前、解放出版社の高野から、複数の出人懇幹事会社に電話があり、
「自分は解放出版社の事務局長であり、事務方を決める権限がある」
「この交代は解放同盟中央本部の意向だ」
「交代について出人懇と話し合いたい。解放出版社側は高野と、解放同盟の教宣担当中執が出る」
などと、強圧的かつ権威主義的な物言いがあったという。

それに対し、幹事各社は、概ねつぎのように答えたという。
―仗雄は指導・被指導の組織ではなく各社フラットな関係。「はい、そうですか」と言って決める筋合いのものではない。みんなに諮らねばならない。
⊇仗雄は、あくまでも出版社の勉強会。だから運営は勉強会が中心で、その事務を業務委託していたのが、多井さんであるとの認識。
B唇罎気鵑枠鷯錣砲茲やってくれている。20年以上事務方をお願いしていただけでなく、彼女が優秀な編集者で、多くの著者と人的関係を結んでいたことが大きい。
ぢ紊錣蠅諒がどなたでも、いきなり代役が務まるレベルの活動ではない。
ゲ鯤同盟中央本部が同席したいというのは理解できない。我々がつきあってきたのは、あくまで解放出版社の多井さんであって、解放同盟中央本部ではない。
(解放出版社の事務所が入っている)ビルの鍵を勝手に替え、事務局の多井さんやKさんを締め出したこと(鍵の取り替えは違法行為)を聞いた人たちは、大変不安と不信感を持っている。そういうことをするような人達との話し合いについては、考えさせてもらいたい。

 
至極真っ当な応答だと思う。
ちなみに高野は、他の出版社へも「社長と話したい」などと言って電話をかけている。自律的・自主的に営まれてきた出版人の勉強会組織に対し、水戸黄門の印籠さながら、解放同盟の意向を盾に威嚇する態度に、「今どき、こんな物言いが通用すると考えている人がいるとは……社会性も常識もない」と、各出版社は驚き、あきれはてていた。みっともない話だ。この高野は、出版社組織の取次店トーハンが事務局をつとめる「部落解放・人権図書目録」刊行会についても、独善的で排他的な運営が指弾されている。
(この項つづく)
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