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第193回 ふたたび相模原障害者殺傷事件をかんがえる

 

はじめに

 

「森友学園」疑獄事件の解明が、直接のかかわりのある安倍政権と官僚のサボタージュによって一向にすすまないなか、4月6日「共謀罪」の審議入りが強行された。

 

 絶対多数を背景に、強権的に強行される人権抑圧法案の成立を許せば、日本がファシズム国家に変貌を遂げたことを象徴する出来事となる。(「緊急事態法」案もまだ生きている)

 

「森友学園」事件は、その強権的ファッショ政治勢力内部の矛盾が露呈したものだ。

 

 国会内では、安倍首相を筆頭に、すでに政治家の言葉が意味を失っている。議会制民主主義の原理は多数決とする安倍政権の下、ウソがバレても責任をとらないばかりか、居直り、批判を無視する傲慢な姿勢は国会内にも反知性主義が蔓延していることを示している。

 

*反知性主義とは「客観性・合理性・実証性を無視ないし軽視し、自己に都合のよい物語に閉じこもる態度」それゆえ反知性主義者との対話は成立しない。

 

 

 きわめて危機的な情況にある日本(世界的にもだが)の政治情況がもたらした最悪のヘイトクライムである相模原障害者殺傷事件について、再び掲載したいと思う。

 

 この事件の容疑者・植松聖は「正義」を遂行することを大島衆議院議長を通じ、安倍首相に伝えるよう頼んでいる。

 

政府がやりたくてもなかなかできないことを率先して実行するという意志表示。ヘイトスピーチデモを繰り返す「在特会」などと同じ心性をもつレイシストと言ってよい。

 

 異例の7ヵ月以上の長期にわたった精神鑑定の結論が、2月24日に出され、「パーソナリティー障害」が認められるが「完全に刑事責任能力」があると判断され、起訴された。

 

 事件が起きた直後にも書いたが、この事件の原因を容疑者個人の特性にもとめるのは、事件の本質を見誤るばかりか、措置入院制度を厳しくすべきなどの論調は、逆に精神障害者差別を強めることになる。

 今回は、この相模原障害者殺傷事件の裁判を注視することも含め、再び取り上げることとした。

 

 

●相模原障害者殺傷事件(2016年7月26日未明)

 

 

\鏝綺念のヘイトクライム(差別的憎悪犯罪)

 

○重度知的障害者の抹殺を直接の目的とした今回の殺人事件は、社会的マイノリティ集団に対する、目的意識性と攻撃性および計画性をもって実行された、戦後最悪の虐殺行為(19人殺害、27人重傷)である。

 

また、以下にみる歴史的事件と並ぶヘイトクライムである。

 

○明治初期に起きた「解放令」(1871年 明治4年)反対一揆(俗称・「穢多」狩り)

 

○1923年9月1日関東大震災時の6千人におよぶ朝鮮人虐殺(中国人、日本人も殺されている。福田村事件〈千葉県野田市で香川県三豊郡から行商に来ていた被差別部落の人たちが虐殺された〉)

 

 

単なる猟奇的な凶悪事件ではない

 

○1995年、オウム真理教が起こした松本サリン事件、地下鉄サリン事件(松本智津夫/麻原彰晃)

○2001年、大阪・教育大付属池田小学校が襲われ、生徒8人が殺害された無差別殺傷事件(宅間守)

○2008年、車とナイフで7人が殺害された秋葉原通り魔事件(加藤智大)

○古くは、1938年岡山県で起きた津山事件(30人殺害「八ッ墓村」のモデルとなった。横溝正史の『金田一耕助シリーズ』)

 

これらの猟奇的で動機不可能な凶悪事件と障害者差別を媒介にした相模原障害者殺傷事件を、同列にみてはならない。

 

 

社会的マイノリティ集団に対するヘイトクライム

 

○2015年6月、米国サウスカロライナ州チャールストン黒人教会銃乱射事件(9人殺害)

 

○2016年6月、フロリダゲイナイトクラブ銃撃事件(アメリカ史上最悪と言われる50人が殺害された)

 

この二つの事件は黒人及び同性愛者に対する差別的憎悪犯罪=ヘイトクライムとして裁かれている。

相模原障害者殺傷事件は、上記二つの事件と同じであり、「異常者」の犯行でもなければましてや「テロ」事件ではない。

 

 

と塙圓瞭圧,僕ダ思想、背景にヘイトスピーチの蔓延がある

 

○容疑者・植松聖は、障害者を20万人以上虐殺したナチスドイツ・ヒトラーの優性思想(T4作戦)に心酔し、「啓示」を受け、「正義」を実行したと供述している。精神症状としての妄想ではなく、障害者差別思想にもとづく犯罪なのである。(衆院議長公邸で手渡された手紙[註 呂望楮戮傍されている)。

 

さらに付け加えれば、生活保護受給者やニート、非正規雇用、契約社員、派遣労働者など若年層の貧困もその原因が社会構造にあるにも関わらず、自己責任を強調する支配層のイデオロギーによる世論操作などが社会的背景にある。

 

 

註/⊂樟擦亮蟷

 

(手紙1枚目)

衆議院議長大島理森様

この手紙を手にとって頂き本当にありがとうございます。

私は障害者総勢470名を抹殺することができます。

常軌を逸する発言であることは重々理解しております。しかし、保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳、日本国と世界の為と思い居ても立っても居られずに本日行動に移した次第であります。

理由は世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれないと考えたからです。

障害者は人間としてではなく、動物として生活を過しております。…中略…

私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です。…中略…

障害者は不幸を作ることしかできません。…中略…

障害者を殺すことは不幸を最大まで抑えることができます。

(手紙2枚目)

私は大量殺人をしたいという狂気に満ちた発想で今回の作戦を、提案を上げる訳ではありません。全人類が心の隅に隠した想いを声に出し、実行する決意を持って行動しました。…以下略

 

(手紙3枚目)

作戦を実行するに私からはいくつかのご要望がございます。

逮捕後の監禁は最長で2年までとし、その後は自由な人生を送らせて下さい。心神喪失による無罪。

新しい名前(●●●●)、本籍、運転免許証等の生活に必要な書類、美容整形による一般社会への擬態。

金銭的支援5億円。

これらを確約して頂ければと考えております。…中略…

日本国と世界平和の為に何卒よろしくお願い致します。

想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております。

 

 

 

○また、植松が経済的合理性を最優先する新自由主義の価値観・社会観=コスト(税金)のかかる非生産的な社会的弱者への福祉政策をムダと切り捨て、排外的人種差別主義者のヘイトスピーチに煽られ、その対象者に憎悪さえ抱いていたことが明らかにされている。

 

○すべてのの命に意味があり、意味のない命などない。生産性の高低によって命の価値に差をつけ分断してはならない。

 

 

セ件を措置入院制度の不備に矮小化してはならない

 

○世界各国で事件が報じられ、米国ケリー国務長官、ロシア・プーチン大統領など各国要人が次々と追悼の意を表したのは、事件が、障害者に対するヘイトクライムだったからである。

 

○ところが、日本の社会心理学者や犯罪心理学者は、措置入院が不十分だったとか、妄想性障害や大麻精神病が引き起こした、容疑者個人の特性による犯罪だとする意見をメディアで垂れ流している。措置入院制度をより厳しくすべきという論調は、事件の本質を見誤るばかりでなく、保安処分(社会防衛)の観点から予防拘禁制度を強化することで、逆に精神障害者差別を強めることになり、事件の背景にある社会的要因(優性思想にもとづく障害者差別意識)を隠す役割を果たしている。障害者差別解消法(今年4月)の精神に全く反している。

 

 

α衞聾蕎祿下垰傷事件は「二重の意味での殺人」

 

○重複障害をもつ東京大学・福島智教授は、

「一つは人間の肉体的生命を奪う生物学的殺人。もう一つは、人間の尊厳や生命の生存の意味そのものを優性思想によって否定するという、いわば『実存的殺人』です。障害者の尊厳というものが、特別に存在するわけではありません。あるのは、人間の尊厳であり、人間の生きる意味と権利です。そして、障害者はまさしく人間です」

と語る。(7月28日フジテレビ系「ユアタイム」より)

 

 

Ц人によるあいつぐ差別発言

 

・神奈川県海老名市議会の鶴指副議長の、同性愛者は「異常動物」との差別発言

・茨城県教育委員の銀座日動画廊・長谷川智恵子副社長の、「障害のある子どもの出産は防ぐべき」との差別発言、

・石原慎太郎都知事が、府中の重度知的・身体障害者療育施設を訪れた際に放った「ああいう人ってのは人格あるのかね」発言(1999年/精神障害者団体から強く抗議されている)。

 

(*以上は研修などに使用している相模原障害者殺傷事件についてのレジュメに補筆したもの)

 

 

 

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