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ウェブ連載 第197回 自民党・山本幸三議員の人種差別発言

 

■ 前地方創生相の山本幸三・自民党衆議院議員(福岡10区)の人種差別(黒人差別)発言

 

 

  20171123日、北九州市で開かれた三原朝彦衆議院議員(自民党福岡9区)の「政経セミナー」で挨拶に立った山本議員は、三原議員がアフリカ各国と交流や支援活動を行っていることに触れ、「何であんな黒いのが好きなのか」と、耳を疑うような黒人蔑視の差別発言を行った。

 

 当人は、取材記者の指摘に対し「アフリカが『黒い大陸』『暗黒大陸』と表現されたことが念頭にあっての発言で、黒人を指して言ったわけではない」と釈明、「差別的なことを意図しているわけではない。表現が誤解を招くということであれば撤回したい」と述べたという。

 

 ついうっかり口をついて出た、軽はずみの発言として済まされない舌禍(ぜっか)事件だ。この発言は、国を問わず地球上に住む「肌の色が黒い人々」すべてに対する人種差別発言であり、ことは「アフリカ」だけにとどまらない。

 

 

■「黒い大陸」「暗黒大陸」表現に含まれる差別性

 

 

「何であんな黒いのが好きなのか」!――この暴言は、山本幸三の内面に貼りついている肌の色が黒い人々に対する嫌悪感――つまり強烈な差別意識が吐露されたものであるが、当人にその自覚はない。無意識かつ自然に口をついて出た差別表現である。

 

  しかも「あんな黒い」との言い回しには、黒い肌をもつ人々には人格や尊厳がなくもの(奴隷)として蔑すむ差別意識がある。山本幸三は差別意識が血肉化していると言ってよい。

 

 また、アフリカが『黒い大陸』『暗黒大陸』と表現されたことが念頭にあったと言い訳しているが、その「黒い大陸」「暗黒大陸」という表現に含まれる植民地主義的差別性に、気づきさえしていない。

 

 「ブラックマンデー」「ブラツクアウト」「ブラックリスト」「ブラックマネー」「ブラック企業」など、否定的意味を「ブラック(黒)」という言葉(色)に(象徴的)付与してきた歴史と現実がある。

 

  15世紀以降に始まった奴隷制度では、1千万人から2千万人に上るアフリカの人びとをアメリカ大陸に拉致し、「奴隷」とした。

 

 ヨーロッパ、アメリカの白人たちが、この犯罪を正当化する言葉は、「《白》にこそ価値があり《黒》は劣等である」であった。イエス・キリストも「白人」とされ、ギリシャ彫刻も白く塗り替えられた。エジプトのクレオバトラも、ハリウッド映画では白人のエリザベス・テイラーが演じたのである。

 

 

 

■失言をくり返す公人――人種差別撤廃条約に違反

 

 自民党・山本幸三は、地方創生担当相当時の2017年4月16日、滋賀県大津市で開かれた地方創生に関するセミナーの中で、観光振興をめぐり、

「一番のガンは文化学芸員……観光マインドが全くない。一掃しなければ駄目だ」と発言して批判され、後に撤回している。

 

 自民党議員山本の暴言に対し、北九州小倉北区にある事務所に、福岡の市民団体「福岡の教育を考える会」が抗議文を提出するなど、抗議行動を行っている。中央でも、抗議行動を行うべきだろう。

公人による差別発言がなぜ厳しく戒められなければならないのか。

 

 ここで過去の公人による黒人差別発言について掲載しておくが、1990年に梶山静六法務大臣が黒人侮蔑発言を行ったさい、アメリカ下院議会で梶山法相非難決議が全会一致で可決され、東京都議会の訪問が拒否されるなど、外交問題にまで発展したのである。

 

 「人種的優越主義に基づく差別及び煽動」を禁止した人種差別撤廃条約第4条C項(日本はabを留保しているがC項は批准している)は、「国または地方の公権力または公的公益団体が人種差別を助長しまたは煽動することを許さない」と定めている。

 

 さらに憲法第98条[最高法規、条約及び国際法規の順守]のでは「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と書かれている。山本幸三議員を徹底糾弾すべき。

 

 

■公人による黒人差別発言は外交問題に発展する

 

事例 1 「カルピス」の商標マーク

 

 1980年代に、アメリカの「ポリティカル・コレクトネス」運動や、日本国内における差別語や差別表現に抗議する運動の高まりのなかで、「サンボ人形」「ダッコちゃん」や『カルピス』の商標だった「黒人マーク」などが、ステレオタイプ化した黒人蔑視であり、誤った黒人像を与えているとして、強く指摘される。

 

 

事例 2 中曽根首相 「アメリカの黒人は日本人よりはるかに知的水準が低い」

 

 1986年、当時の中曽根首相が、自民党の全国研修会で、「日本は高学歴になってきておる。……平均点からみたら、アメリカには黒人、プエルトリコとかメキシカンとか、そういうのが相当おって、日本人よりはるかに知的水準が低い」と発言し、米議会や黒人議員連盟などから強く抗議される。

 

 

事例 3 渡辺政調会長 「黒人やヒスパニックは破産して金返さなくてもアッケラカンのカー」

 

 1988年、当時の自民党渡辺美智雄政調会長が、「日本人はまじめに金を返すが、アメリカには黒人やヒスパニックなんかがいて、破産しても、明日から金かえさなくてもいい、アッケラカンのカーだ」と発言し、国内外から人種差別発言として強く抗議される。その後、1991年に、副総理兼外務大臣に就任した渡辺氏は、この発言を釈明するなかで「日本は単一民族なものだから」と発言し、アイヌ民族の団体から謝罪と閣僚辞職を求める抗議文がだされる。

 

事例 4 梶山法務大臣 「アメリカにクロが入ってシロ(白人)が追い出されている」

 

 1990年、自民党の梶山静六法務大臣が、資格外就労の外国人女性摘発をめぐって、「悪貨は良貨を駆逐するというが、アメリカにクロ(黒人)が入って、シロ(白人)が追いだされているような混在地になっている」と発言。全米黒人地位向上協会などアメリカの団体のみならず、アフリカ各国をも巻きこんで抗議行動が拡がる。法務大臣をはじめ政府首脳は陳謝したものの、米下院が梶山法相非難決議を全会一致で可決。

 

 東京都議会都市問題調査団が、ニュージャージー州都トレントンのダグラス・パルマ黒人市長により、訪問を拒絶される。梶山法相は、衆参両院の法務委員会で「国内外からの強い非難を浴びてはじめて人種差別問題への『感受性の欠如』やその克服の難しさに気づき」「外国人の労働問題という観点もなく短絡的だった」と陳謝。

 

 

事例 5 日本オリンピック委員会会長  「黒いのばかりにVvictory)とられちゃかなわない」

 

  2000年、日本オリンピック委員会の八木祐四郎会長(当時)が、長野五輪記念・長野マラソンでアフリカ勢が上位を占めたことに対し、「黒いのばかりにVvictory)とられちゃかなわない」と差別発言、ひんしゅくを買う。オリンピック憲章第1章の32に「人種、宗教、政治、性別、その他に基づく、国もしくは個人に対する差別は、いかなるかたちの差別であっても、オリンピック・ムーブメントへの帰属とは相入れないものである。」と書かれている。                                       (*出典は『最新 差別語・不快語』)

 

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