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第57回 「日本生態系協会」会長の差別発言
■「原発事故に遭った人は結婚しない方がいい」
 7月9市に自治体役員らを対象にした、日本生態系協会主催のセミナーで、講師の池谷奉文会長が、ロシアのチェルノブイリ原発事故を例に、以下のような発言を行なったという。

<池谷会長が公表した講演発言内容>
それでは引き続きお疲れとは思いますが、しばらくご容赦ください。
さきほどのチェルノブイリの話でございますけれども、放射能ってのは、怖いのは、人間は放射線には強いのでございまして、レントゲン写真を撮るじゃないですか、そんなことでそれほど放射線には、限度超えたのは具合が悪いのですが、かなり強いんです。本当の問題は後でございまして、日本は福島がそうですが、これからですね内部被ばく、これがどうしようもないんでございまして、これからの放射能雲が通った、だから福島ばかりじゃございませんで栃木だとか、埼玉、東京、神奈川あたり、だいたい2、3回通りましたよね、あそこにいた方々はこれから極力、結婚をしない方がいいだろうと。結婚をして子どもを産むとですね、奇形発生率がどーんと上がることになっておりましてですね、たいへんなことになる訳でございまして……。(『福島民報』2012年8月30日)
 しかも、この発言が「不適切な差別発言」であると抗議、訂正と撤回を求めた福島市議らに対し、池谷会長は以下のように語り、差別発言ではなく、原発事故の重大性を認識させる必要があると思っての発言であり、なんら問題はないと居直っているという。
<池谷氏の発言>
「議員の方から文書で指摘を受けましたが、差別発言ではまったくありません。もっと大きな問題を言っており、事故の重大性をきちっと認識する必要があるということです。26年前のチェルノブイリでは、奇形児が生まれたり、発がん率が上がったりしたことが現実にありました。日本の場合も、原発事故の後では環境が違っており、安易な考えで結婚することは危ないと言いたかったわけです。結婚するときは、十分に注意して下さいということですよ」(J-CASTニュース 2012年8月30日)
■病気や障害を持つ人を排除する発想

 「日本生態系協」は、内閣府所管の公益財団法人で、会長といえば公人にあたる。

 彼は以前に「健全な社会は健全な生態系の上に成り立つ」と語っているが、そこで話されている「健全」とは「奇形」児、「障害」者を生まない社会ということなのだろう。“「障害」者はあってはならない存在”として排除・抹殺する思想であり、このような考え方を、優生思想にもとづく人種差別および障害者差別と言う。

 広島・長崎の原爆被害者が受けた結婚差別をはじめ、さまざまな差別を批判し克服する道ではなく、「社会から障害者を排除するための予防措置として福島第一原発事故による放射線被害を受けた人々を差別する」とは、いかなる心性の持ち主なのか。原爆・原発事故被害者差別、そして障害者差別と断言せざるを得ない。

 福島原発事故にかかわって、一連のいろいろな差別言辞があったが、その中でも最もひどい差別発言と言える。
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