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第53回 続オリンピックと人権
■五輪選手、またも差別発言のツイッター
 先週、人種差別発言でギリシャ代表を外された陸上女子三段跳びのパラスケビ・パパフリストゥ選手について書いたが、今週もまた同様の差別ツイートを行なったために、スイスのサッカー男子代表、ミッチェル・モルガネラ選手がオリンピック村を追放された。

 事の始まりは7月28日に行なわれた男子サッカー韓国VSスイス戦だった。以下、記事を引用して概要を伝えたい。
(韓国の)パク・チュヨンとの接触プレーで(スイスの)ミシェル・モルガネッラが転倒。このプレーに対して主審は、パク・チュヨンのファウルと判定してイエローカードを提示した。

試合後、このプレーに怒った韓国サポーターが、モルガネッラのフェイスブックに殺到し、あれはダイブだと批判のコメントを次々と書き込む炎上騒ぎに発展。

これに切れたミシェル・モルガネッラは、自身のツイッターに「韓国人みんなボコボコにしたいぜ。業火に焼かれちまえ。この先天異常者どもが」と投稿。

後にモルガネッラはこれに謝罪しツイッターのアカウントを削除したものの、事態を重く見たスイスオリンピック委員会がモルガネッラをチームから追放した。

問題となったプレーに関しては、パク・チュヨンは確かに足を踏んではいるが、モルガネッラの転倒もやや大袈裟であるといえる。審判がイエローを出さなければ、おそらくここまで大きな事件にはならなかっただろう。
【『Football Magazine Qoly』2012年7月31日( )内は筆者注】
 スイスのモルガネッラ選手は、気楽なつもりでツイートしたのだろうが、怒りの矛先を韓国人一般に対して行なったのは、人種差別と受け取られても致し方ない。怒るなら自分の大げさなプレーに反応してイエローカードを出した審判に対してだろう。スポーツの中でもサッカーはとくに、人種差別的な言動に厳しい処置を下す。

■日本人への蔑称「Jap」
 オリンピックとは直接関係ないが、イギリスの保守系週刊誌『スペクテーター』が、記事の中で「ジャップ(Jap)」という日本人に対する侮蔑語を使用しているとして、在英日本大使館が抗議し、論争になっているという。以下、記事を引用する。
問題の記事は「テレビ・失敗した英国」と題した第二次大戦に関する歴史コラムで、同誌が5月26日付号に掲載した。その小さな記事に「Jap」という単語が4回も使われていたことが発端だった。

これに在英日本大使館が反応。同誌に「この言葉は第二次大戦中の反日プロパガンダで度々使われ、攻撃的で侮蔑的な感情を呼び起こす」として、今後は使用しないよう求める書簡を送ったところ、6月16日付同誌の読者欄に掲載され、ロンドンの夕刊紙でも、この論争が紹介された。

これがきっかけで、同誌の読者欄では「『Jap』を使わないように気を付けたい」「(日本大使館の書簡に)当惑している。英国人は『Brits(ブリッツ)』と呼ばれても気分を害さない」などの投稿や反論が6月いっぱい続いた。

だが、英国の日本車愛好家たちが「ジャップカーズクラブ」なる団体も立ち上げており、これには大使館も抗議するわけにいかず頭を抱えている。戦後67年、「Jap」を知らない世代が増えている。(内藤泰朗 産経新聞 2012年7月31日)
 在英大使館は、2010年12月にもイギリスBBC放送が広島と長崎で二度被爆した山口彊(つとむ)さんを「世界一運の悪い男」などとジョーク交じりに紹介したことにも抗議を行い、謝罪を行なわせるなど、なかなか差別語・差別表現の問題でがんばっている。(『差別語・不快語』89ページ参照)

 今回の問題で「ジャップカーズクラブ」という団体がいつ設立されたか定かではないが、歴史が浅く一般の認知度が低ければ名称変更を求めるべきであり、社会的に浸透している日本車愛好家団体の名称であれば、善処の申し入れをしてゆくべきだろう。

 また、〈英国人は『Brits(ブリッツ)』と呼ばれても気分を害さない〉ので、「Jap(ジャップ)」で怒るのは大人げないとイギリス人が投書しているらしいが、それは広大な植民地から収奪し、栄華を貪り、敗者の懊悩(ルビ おうのう)を忖度(ルビ そんたく)できない大英帝国末裔の戯言にすぎない。

 中国及び中国人に対する蔑称に「シナ(支那)」があるが、「東シナ海」は古い命名であり、変更を求めているものの、いまだ変えていない。だからといって、中国を「シナ」と呼ぶことは、厳に慎むべきである。石原慎太郎都知事も日本国内で声高に発言するのではなく、人民大会堂がある天安門広場で、「在特会」よろしく大声を張り上げたらどうだろうか。

 話が飛んだので、今回はこれで終わり。
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