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第42回 沖縄に対する差別意識
 2012年5月9日の朝日新聞朝刊に「基地集中は『本土の差別』沖縄で50% 共同世論調査」というタイトルで「沖縄が本土復帰して15日で40年になるのを前に、朝日新聞社と沖縄タイムス社は、沖縄県で電話による共同世論調査を行った。」という記事が載っている。

 「沖縄の米軍基地が減らないのは、本土による沖縄への差別か」という問いに、沖縄県では50%の人が「そのとおりだ」と答え、逆に本土では「そのとおりだ」と答えたのは29%、「そうは思わない」が58%という結果が出ている。

 解説を書いている那覇総局の谷津憲郎記者は、「沖縄では2010年ごろから(本土による)米軍基地の押しつけを『差別』ととらえる見方が広まってきた」とし、「『本土による』とは、『本土の一部政治家による』という意味ではない。本土メディアで働く私も、本土に暮らすあなたもふくまれる」と、主体的にとらえている。

 そして、「そうした問いの末に、沖縄では本土への不信が湖のように広がり、被差別感となって共感しあい、ある種の沖縄ナショナリズムが高まっている」と書いている。

 さらに、「昨年、沖縄へ2度目の赴任をする際、複数の知人から『沖縄は基地負担を盾にとった要求団体化している』という趣旨の発言を聞かされ、驚いた」とも記している。

 差別している側の認識は、どの差別問題でも同じだ。つまり、被差別者の側に、差別の原因や要因を押しつけ、自己の差別感情を正当化する意識だ。

 沖縄に対する差別が構造的なものであることは、論を俟たない。

 以下に、拙著『差別語・不快語』から一部引用しておく。
第二次世界大戦末期に、多くの住民を犠牲にした地上戦をくり広げた沖縄の悲劇は、この沖縄に対する差別意識がもたらした惨劇といえるでしょう。いわば、本土防衛のための“捨て石” にされたといっても過言ではありません。これは、現在の沖縄に駐留する米軍基地問題を考えるうえでの核心です。実際に、日本の陸地面積のわずか0.6%を占めるに過ぎない沖縄県に、在日米軍基地の74%が集中している現実のなかにはっきりと見ることができます。沖縄に対する「民族差別」につながる政治的差別という視点を抜きにして、普天間をはじめ、米軍基地問題の実相は見えません。基地問題に象徴される、日本政府による強圧的な政治姿勢を、沖縄の人々は構造的差別(琉球処分)ととらえていることを理解しなければなりません。

(『差別語・不快語』198頁)
 これに関連して、2012年3月15日の朝日新聞朝刊に、興味深い記事が載っている。
「琉球民族の人権守って」 普天間移設 国連委が懸念

 国連の人種差別撤廃委員会から、人権の扱いをめぐる「早期警戒措置・緊急手統き」に基づき、米軍普天間飛行揚(沖縄県宜野湾市)の県内移設計画などについて説明を求める質問書が13日(日本時間14日)、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部に届いた。7月31日までに、日本政府の回答を求めている。

 外務省幹部が14日の自民党外交部会で説明した。質問書では、「琉球民族」が反対するなかで普天間飛行揚代替施設を名護市辺野古周辺に造る計画に懸念を表明。移設先の地域社会の権利保全などについて、具体策の説明を求めている。国連で発言権を持つ非政府組織(NGO) 「反差別国際運動」と、沖縄の2団体の計3団体が先月、同委員会に手続きに入るよう申し立てた。

(2012年3月15日 朝日新聞朝刊)
 米海兵隊普天間飛行場の問題をめぐって、沖縄県民の反対にもかかわらず、沖縄県名護市辺野古に新基地建設を政府が強行するというのは、明白な差別政策である。これが沖縄県以外の都道府県であれば、政府は強行するのだろうか。日本政府、つまり民主党政権の対応を注視したい。
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