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第21回 橋下徹前大阪府知事をめぐる週刊誌報道 その
 『週刊新潮』・『週刊文春』(共に11月3日号)の、部落差別を助長しかねない記事と広告に対し、様々な方面から意見が寄せられている。

 とくに注目したいのは、『週刊現代』・『週刊ポスト』・『AERA』誌などが、『週刊文春』と『週刊新潮』の記事を強く意識し、批判記事を載せていることだ。

『AERA』に載った、<特集 橋下徹「同和と実父」報道への反論>では、小見出しに、「実父の問題は俺の不祥事なのか? 俺の子供たちの気持ちはどうなんだ?」とある。本文の橋下氏の言葉、「血脈を俺の現在の言動の源泉というなら、子供も同じということだな。個人の人格よりも血脈を重視すると言う前近代的な考えだ。」は、至極まともな、正論。

 『週刊ポスト』も、<橋下徹「抹殺キャンペーン」の暗黒 誹謗と中傷と部落差別がまかり通る>と題して、真正面から同業誌の『週刊新潮』・『週刊文春』を批判している。同業者間で相互批判が行なわれることに、週刊誌ジャーナリズムの意識の高さと健全さが現れていると歓迎したい。

 もうひとつ、注目というより疑念に思うのは、部落解放同盟の対応である。

 解放新聞大阪府連版に、大阪府連が『週刊新潮』・『週刊文春』に、抗議文を送付したことが載っている。しかし、問題の性質と影響力の大きさを考えれば、中央本部で取り組むべき課題と思うが、どういうわけか大阪府連が抗議主体となっている。しかも、直接の当事者、橋下前府知事と連絡を取った形跡が無いのは不思議だ。橋下氏は、氏のツイッターで精力的に、2誌の取材記者の実名を上げてまで批判している。

 北口末廣委員長名で出された大阪府連の抗議文には、「私たちは、こうした差別をなくすために運動を進めていますが、橋下徹氏を擁護するために抗議しているのではありません。」との一文をわざわざ記している。

どんな意図の下に書き記された一文か、意味不明だが、直接の被害者であり、当事者である橋下氏に対して、彼が公人であり、また、いかに政治的主張や立場が対立しているとはいえ、あまりにも冷酷な一文と言わざるを得ない。

 部落解放同盟は、部落差別を許さないという一点で結集した大衆団体だ。

 だからこそ、差別ハガキを何百枚も送りつけられ、くじけそうになる重圧と苦しみの中から抗議糾弾に立ちあがった東京在住のUさんに、解放同盟の東京都連は全力で支え、共に闘っているのである。

 どのような思想的・政治的立場の違いがあろうとも、部落差別(しかも選挙前というこの時期に差別キャンペーンが張られたことは非常に問題だろう)に抗議して正面から週刊誌2誌と対決している橋下氏を支え、この一点において擁護すべきではないのか。本末転倒した一文と断ぜざるを得ない。

 政治的思惑を優先させて、橋下氏に会おうともせず、励まそうともしない組織は、“兄弟”の持つ共通感情の絆を謳う水平社宣言の精神とは、かけ離れていると言わざるを得ない。
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