最新連載記事
カテゴリー
月別

記事検索
<< 第6回 「レディー・ガガ」と「キャノン」 | 最新 | 第8回 「障害者基本法改正法」と「人権侵害救済法案」について >>
第7回 松本龍復興大臣辞任について

 解放同盟の福岡県連から、組坂繁之県連委員長代行名で、「松本龍・前復興相の一連の言動について」(見解)が、7月15日付で出されている。(『解放新聞』2011年7月25日掲載)

(見解)は、松本龍代議士の環境・防災大臣就任以降の業績を評価した上で、「気分障害による」、「躁(そう)状態」に陥り、不快な言動で被災者を傷つけ、関係者に迷惑をかけたことを素直に詫びる内容となっている。

 しかし、「九州人だから語気が荒い」や「B型だから短絡的」などの発言は、「決してあってはならない」として、松本龍元大臣に対し、

<人権侵害をなくすための取り組みをしている当県連としては、この間の言動は看過できないものであるとうけとめております。今は本人が療養中のため面談できる状況ではありませんが、体調が回復し、話が交わせる条件が整った時点で、指摘をし、猛省を促す所存であります。>

と結んでいる。

 九州大学病院は、7月14日に、

<軽度の躁状態では、気分高揚に伴い、本人の本意とは違うことをつい口走ってしまうこと、普段なら決してしない行動をとってしまうことが多いのです。>

と病状を説明している。

 県連が組織として、まず第一に考えなければならないのは、「気分障害による」、「躁(そう)状態」についての正確な精神医学的知識を持って、松本龍さんに接することであって、「猛省を促す」ことではない。

 病であったとはいえ、自己の意に反する言動によって、被災者を傷つけ関係者に迷惑をかけたことを、最も悔いているのは、他ならない松本龍さんだからだ。
それは、松本龍さんの「人となりを知る」同盟関係者なら、当然過ぎる程分かっていることではないか。

 だからこそ、同盟としては、メディアに煽られた世間のバッシングを、組織防衛的観点からではなく、あくまで松本龍さんを支える立場から、真摯に受け止め、病の一刻も早い回復をこそ、願うべきだろう。

 さらに付け加えれば、確かに病気とはいえ、村井宮城県知事に対する、言葉と接し方に問題はある。が、その発言の中身が持つ視線を、思い出してもらいたい。

 徐々に明らかにされてきているように、復興利権を巡って、村井県知事の描く構想に、地元被災者、特に、漁業関係者が猛反発(復興漁業特区制度)しているという事実である。

 野村総研と大手ゼネコンの意を受けた再開発復興構想が、被災者の意志を、無視ないし軽視していることに、松本龍復興大臣が怒りを露わにした点を、見逃してはならない。

 今回の一連の言動が恰好の材料にされ、菅政権批判と相まって増幅され、辞任に追い込まれた背景は、知っておく必要がある。 その視線が、今回の(見解)には、感じられないのが残念だ。また、メンタルヘルス疾患についての認識不足からか、少なからず松本龍さんに対し、配慮が欠けているのではないかと思わずにはいられない。

一連の松本復興大臣に対するバッシングの中で、看過できない駄文について一言述べておきたい。

それは、『週刊金曜日』(2011年7月15日号)の、「なぜそんな暴言が吐ける?松本龍さん!」と題された、藤田正氏の一文だ。

藤田氏は、部落解放同盟中央本部の機関誌『部落解放』にもコラムを持つ、音楽評論家だが、

<東日本大震災被災者と被差別部落民との連帯やいかにという意味において、少しは触れておきたい>
と前置きして、被災地の中学吹奏楽部と合唱部のCDを紹介した後、
<松本さんよ、部落解放の心を東北の子どもたちから、教えてもらってますよ!「解
放の父」と称された松本治一郎の養孫であり、今もなお部落解放運動の要人の一人である松本龍が、なぜに歴史的&今現在も差別と苦渋を強いられる人々に対して、暴言が吐けるのか。辞任の言葉「三日でノーサイドとなった」だって!どうかしている!>

と、一喝している。

 松本龍氏のことについて情報を持たない輩の戯言ならまだしも、長年、部落解放運動に寄り添っている藤田氏の言葉とは、到底信じがたい。「気分障害による」「躁(そう)状態」だったことを知らなかったでは済まされない、「暴言」と言わざるを得ない。松本龍氏の「人となり」を熟知していれば、別の観点から論じられたはずだ。

 世間に迎合し、つい調子に乗り過ぎて筆がすべったとして黙過できる問題ではない。

 しかも、「松本さんよ」と挑発的に呼び掛け、「松本龍」と呼び捨てにする藤田氏の性根に、二重の差別性を見る。

 そこには、藤田氏の部落解放同盟とその運動に対する“本心”が吐露されていると言わねばならない。

| 連載差別表現 |